ゆかしの杜にある「ういケアみなと」とは?

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ゆかしの杜にある「ういケアみなと」とは?

ゆかしの杜にある「ういケアみなと」とは?

みんなが高い関心を持つ「健康」と、私たちの街「高輪」を結びつけた「プラたか健康特集」の第2回は、がん患者さんとそのご家族をサポートするためにオープンした「がん在宅緩和ケア支援センター ういケアみなと」で、お話しを伺いました。

【凡例】
岩:岩田さん
高:高柳さん
プ:プラたか.net

プ:本日は宜しくお願いします。では初めに「がん在宅緩和ケア支援センター ういケアみなと」とはどんな施設なのか教えてください。
岩:ういケアみなとは、がん患者さんとその家族が住み慣れた地域で安心して療養できるよう、がん患者さん及びそのご家族を支援するために2018年4月に白金台のゆかしの杜5階に新たにオープンしました。行政でがん相談や緩和ケア支援事業を行っているのは初めてだと思います。
 ここを訪れる人々が気兼ねなく立ち寄ることができ、安らぎと親しみを感じていただくことを大切にしています。交流スペースと情報コーナーにおいては、開館時間内の出入りは自由になりますので、ライフスタイルに合わせてご利用いただけます。
 自分と同じような境遇にある人たちと語り合うことで、自分が決してひとりではないこと、自分らしく生きていくことの大切さに気づいていただくきっかけとして、当施設を活用していただきたいと思います。
 がん患者さんのみならず、その家族や友人、がんや在宅緩和ケア(アピアランスケアを含む)に関する情報を知りたい方など、広く皆さんの訪問をお待ちしております。

プ:続いて、近年のがん医療の考え方について教えてください。
高:現在日本では2人に1人ががんにかかると言われており、誰にとっても身近な病
気です。医療の進歩によりがんは不治の病ではなくなりつつあります。
 2004年から2007年の調査による全部位全臨床病期の5年相対生存率は68.8%でした。1997年の62.0%から徐々に改善している傾向がみられます。これは、化学療法、放射線治療や早期発見技術の進歩が貢献していると考えられます。したがって、がんになっても(多くの人は)完治、もしくは、がんと共存しながら生きていける時代になっています。
 今までのがん医療の考え方では、「がんを治す」ということに感心が向けられておりましたが、患者さんがどのように生活していくのかという「療養生活の質」もがんを治すことと同じように大切と考えられるようになってきました。
 患者さんを「がん患者さん」と病気の側面からとらえるのではなく、がんの治療を続けながらも(痛みや、治療におけるだるさやしびれなどの)身体的苦痛、(不安やいらだちなどの)精神心理的苦痛、(経済的な問題や仕事上の問題から生じる)社会的苦痛や(「私の人生はなんだったのか」「生きている意味はあるのか」と人生の意味を問うことから生じる)スピリチュアルな苦痛・問題等を取り除くことで、「その人らしさ・自分らしさ」を大切にして生活できる環境を整えることが重要と考えます。

プ:センターではどのような取り組みをされているのですか?
岩:がん患者や家族の皆さんが、日々生活していく中で生じる多種多様な悩みを遠慮なく相談してください。個別面談または電話相談にて、看護師、医療ソーシャルワーカー、アピアランスアドバイザー、社会保険労務士などが対応します。
 医療的な悩みだけではなく、福祉や制度、アピアランス(治療に伴い変化する外見)ケアに関すること、お金や暮らしのこと・就労と治療の両立支援等々の相談はもちろんですが、それ以外にも、不安や悩みは一人で抱え込まず誰かに話してください。当施設の相談員がお話を伺い、解決の糸口を見つけるお手伝いをいたします。
 がんに関する正しい知識や必要な情報を集められます。情報コーナーや交流スペースの書籍・雑誌・資料などを活用してください。病気のことだけではなく、管理栄養士による正しく簡単に栄養を摂る方法を知るセミナー、理学療法士・作業療法士などによる身体の動かし方や身体の不自由な部分をサポートしてくれる道具の使い方などを知ることができるセミナー、看護師による生活の質の向上セミナーを通して、がんの予防、がんの早期発見、健康の維持増進に繋げていただきたいと思います。がんの予防は、がんのみならず種々の生活習慣病の予防にも役立ちます。
 また、治療に伴い変化する外見へのケアは治療を受けながら生活するうえで重要な事と考えており、専門家によるアピアランスセミナー、相談にも力を入れておりますのでご活用ください。

プ:センターにはどんな役職の職員さんがいらっしゃるのですか?
高:看護師が常におります。また、国や自治体の制度や福祉関係の相談については、週2日いる医療ソーシャルワーカーが対応しています。

プ:来館される方はどのような方が多いですか?
岩:今は高齢者の方が多いです。
今後は、治療で会社を休まなければいけない、会社にがんのことをどう言ったらいいのかわからない、仕事を休んで生活費や住宅ローンが心配等の相談も受けられるよう、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーによる相談にも力を入れていきたいと考えています。がん治療と仕事の両立を目指す若い世代の方にも来ていただければと思います。
プ:最後に、地域の皆様に施設をどのように利用してほしいと思いますか?

岩:平日は10時から21時まで、土曜日は10時から17時まで開館しています。働く世代の方々においては仕事帰りなどにも活用していただきたいと思います。
 相談は遠慮せずに、がんに関することでしたら何でもお問い合わせください。相談内容によっては港区の地域包括ケアシステムの中で、より相談内容に適した窓口をご案内することも可能です。
 相談や交流目的だけではなく、思い思いの時間を過ごすことができる、くつろぎの場としてお立ち寄りください。
 ネットは情報が多すぎて何を信じていいのかわからないというような話も聞きます。がんになった人もなっていない人も、多くの方にがんに関することを知っていただき、がんを正しく理解することで社会みんなが支えあい助け合って、みんなが笑顔で過ごすことができる世の中にできればと思います。
プ:岩田さん、高柳さん、ありがとうございました!